531 Beyond 応用編

Beyond 531

2008年に登場して以来、色々な人に試してもらった531。Wendler氏は531を世に出した後も引き続きElite FTSの掲示板でリフターの色々な相談を受けていた。「パワーリフティング大会に出たいんだけどどう531に組み込めば良い?」「22歳でテストステロン余りまくっていてバニラ531(オリジナル版)がぬるいんだけど?」「今減量中で断続的断食をしているんけど、ジム時間が断食中にしか確保出来なくてメニューが辛い」などなど。

Wendler氏は直接答えることもあればふと思い付いた様にブログに書き込む事もあった。これらの幾多の解決策やTipsだったりを「Beyond 531」と言う本として世に出した。例の如く、本は色々と素晴らしい情報が詰まっているが、本自体のプレゼンは糞で読みづらい。あちこちに散乱していた書き込みを取り敢えずまとめて本として出版した感じの内容になっている。掲示板やブログ等を探せばこれらの本の元は探せるだろう。(探せるはず…昔はあった)

このセクションではWendler氏の編纂書「Beyond 531」より幾つか教えたいものを抜粋する。

Double Traing Cycle

初期のWendler氏は1サイクル毎に必ずデロードを要求していた。Wendler氏はElite Powerlifterなので扱う強度が凡人のそれとは違い、恐らくサイクル毎にデロードは必要だったのだろう。

しかしまだトレーニング歴が浅い人や若い人達にはサイクル毎にデロードは過剰だった。そこでDouble Training Cycleと言うのが出てきた。内容は読んで字の如くだが、

5/3/1 + 5/3/1 + Deload

と言う形になる。ここで注意したいのは2巡目の5/3/1サイクル時に必ず重量の再設定をすること。

なお、一般的なトレーニーにそもそもデロードなぞ必要なのかと言う議論が時折勃発する。エリートアスリートでも無ければぶっちゃけ要らんやろと言うのが一般的な見解であるが、Wendler氏が言う様に我々は人生と言う長い大会に出場しているわけで、適宜デロードしてQoLの向上に勤めよう。またデロードが必要が無いくらいぬるいとお思いなら、後述のスパイスを投入しては如何だろうか。

Joker Sets

Training Maxを設定した事に毎度何かのPRを経験して楽しい日々であろうが、何か物足りない時がある。たまにはエネルギーが有り余っていてもうちょっと攻めたい!って時もあるはずだ。そんな時に行うのがJoker Sets。

Joker Setsとはそのセッションのワーキングセットのトップセットの後に、トップセットの重量から+5%または+10%増量し、トップセットの最低レップをこなす。

例えば、3の週のトップセットである3+を7レップくらいこなしたとしよう。重量は100kgだ。ここでJoker Setをしたい場合、100kgから5%(10%でも良い)増量して105kgを3レップこなす。この場合、+のレップはやらない。まだまだ行けるのなら、更に+5%をして110kgを更に3レップこなす。この様にやりたいところまでこなす。1の週ならシングルを5%~10%から増量しつつ延々こなして行くわけだ。

ここで注意して欲しいのは増量する際に計算するのはその日のワーキングセットのトップセットの重量のみであること。

Wendler氏は真剣なリフターであれば全員Joker Setと後述のFirst Set Lastをやるべきであると言っている。

First Set Last

First Set LastはBig 4のボリューム不足を解消する為にある。

  • First Set Last (original)

    内容は読んで字の如く、トップセット終了後にワーキングセットの最初のセットをAMRAPこなす。

    AMRAP: As Many Reps As Possibleの頭文字で出来るだけやると言う意味。

表にするとこういった感じだ。

5の週 3の週 1の週
65% x 5 70% x 3 75% x 5
75% x 5 80% x 3 85% x 3
85% x 5+ 90% x 3+ 95% x 1+
65% x AMRAP 70% x AMRAP 75% x AMRAP
  • First Set Last, Multiple Sets

    こちらも同様にボリューム不足を解消するのが狙いだが、AMRAPに慣れていない人にはダメージが大きいのでそれを回避する内容だ。

表にするとこんな感じだ。セット数もレップ数も本人が決める。

5の週 3の週 1の週
65% x 5 70% x 3 75% x 5
75% x 5 80% x 3 85% x 3
85% x 5+ 90% x 3+ 95% x 1+
65% x 3~5 Set x 5~8 Rep 70% x 3~5 Set x 5~8 Rep 75% x 3~5 Set x 5~8 Rep

5/3/1 ピラミッド

こちらもFirst Set Lastの様にボリューム問題の解決となるバリエーションである。ボリュームに反応し易いリフト、主にベンチプレスやオーバーヘッドプレスでは何らかのボリューム増加のバリエーションを組み込みたいものである。

余り難しくなく、表にするとこう言った感じである。トップセットまでこなしたら同じメニューで降りて来るだけだ。

5の週 3の週 1の週
65% x 5 70% x 3 75% x 5
75% x 5 80% x 3 85% x 3
85% x 5+ 90% x 3+ 95% x 1+
75% x 5 80% x 3 85% x 3
65% x 5 70% x 3 75% x 5

Deload Redux

Deload Variation

531のIntroductionでDeloadについて説明した。実際にバニラ531のメニュー通りにデロードをするととてもモノ足りない感じがする。自分がデロード前のサイクルを怠けていたからかも知れないが、この物足りなさを実はWendler氏も認識していた。そこでサイクル毎の疲労具合、マクロサイクルにおけるトレーニーの位置などを考え、トレーニーが自分で査定して選定できるデロードのバリエーションを5つ用意してくれた。

疲労度
40% x 5 50% x 5 65% x 3 40% x 10 50% x 10
50% x 5 60% x 5 75% x 3 50% x 8 60% x 8
60% x 5 70% x 5 85% x 3 60% x 6 70% x 6

高強度デロード

ここではボリュームは下げつつも、強度は維持する形のデロードである。

Training Maxが140kgであったとする。

  • Barだけ x 10
  • 60kg x 5
  • 80kg x 3
  • 90kg x 3
  • 100kg x 3
  • 110kg x 3
  • 120kg x 3
  • 130kg x 1
  • 140kg x 1

と言った感じのスキームになる。Training Maxに到達したらシングル以上はやらない。そして何よりTraining Maxに向けて登っている最中にきつく感じたらその時点切り上げよう。デロードは頑張るところでは無い。

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