1. 531とは?
531とはアメリカにあるTraining Gym、Elite FTSの一員であるJim Wendler氏が2005年代に人生に追われていた時、どうにかトレーニングライフを両立出来ないかと考案し、当時の掲示板に公開したプログラムである。
Jim Wendler
531はアホでも分かるレベルでシンプルな癖に突き詰めれば色々な事が出来る柔軟性を持っている。また20年近く存在しているだけあって色々な人が試しており、コミュニティとしての経験値がとても高く、プログラムが多角的に精査されている。 端的に言うと「信頼のあるプログラム」である。
英語版限定だからAmazonでKindle版が¥1000以下の値段で買える。但し書籍としてクオリティがクソ過ぎてオススメしない。買うのならJimさんのへのお布施の心意気で…
2.どうして今更531?
40代を越えて子供二人のパパになってから(2019年に長女、2021年に長男)はトレーニングに割ける時間が短くなっている。筋トレ以外に趣味がたくさんあるのが問題なのも確かにあるが、それらの趣味が儘ならないのを見ると、やはり自由に使える時間が少なくなってきている。とは言え、トレーニーとしてのスタンスは生涯続けて行きたいし、健康の事を考えると尚更である。そこで、プログラミングを深く考え無くて済むもののある程度の成果が見込め、またルールが簡単でその日やその週の気分次第で少しメニューが変更出来るメソッドを無いかと考えたところ、やはり531に落ち着いた。
3. 誰向け?
先ず、発案者のJim Wendler氏が言うプログラムの想定者を述べる。Wendler氏曰くBeyond531内で紹介する「531 for Beginners」の登場でいつの間にか初級トレーニー(Novice)にも向いていると言っています。Beginners版を卒業したら普通の531に移行する様な流れである。
個人的にはこれはオススメしない。
ガチ初心者にはStarting Strengths又はStronglifts 5x5がオススメである。
中級トレーニーレベルに到達したらようやく531が楽しくなると思う。上級トレーニーなら生涯末長く楽しめるプログラムだと思う。
当然だが「531が最強」だったり「万人受け」であるとも思わない。身体の見た目で勝負するコンテストだったり、トレーニングに割ける時間がより多いトレーニーやコーチが居るのならより良いプログラムはたくさんある。だが自分と同じ様な境遇のトレーニーは居るであろうから、とにかくその方達向けである。
4. プログラム概要
531はメゾサイクル(4から6週間)単位の線形ピリオダイゼーションのプログラムである。メゾサイクルが終わると重量を更新してまたメゾサイクルが始まる。特に問題が無い限り、これをルーティンとして生涯続けるわけだ。Wendler氏は週4日くらいのトレーニング頻度を好むが、自分は諸々の都合上、週3くらいがスケジュールにフィットするのでそうしている。
主軸となるトレーニング種目はビッグ4で、具体的にはデッドリフト、スクワット、ベンチプレス、そしてオーバーヘッドプレスであるのバーベルを利用した多関節種目から構成されている。
基本となるレップスキームは決まっており、メゾサイクル内のミクロサイクルは5レップの週、3レップの週、1レップの週、そしてデロードで構成されている。どの週のワーキングセットは3セットで最後のセットは必ず「+(プラス)」セットとなっている。実際の数字に関しては後述の実践編に記述する。
5. Training Maxの設定
531でかなりの味噌となっているのがTraining Maxと言う概念。メゾサイクルを組む際、ほとんどの場合、まず自分の1 Rep Maxを計算し、それをベースに%でプログラムを組み立てるはずだ。531でもその過程を経るが、一つ違うのは1 Rep Maxを計算したあと、その数値の90%値をとり、それをTraining Maxと設定してプログラムを組み立てる。
Training Maxを設定する理由には色々があるが、先ず成長の伸び代の確保が大前提にあり、その次に怪我予防がある。Wendler氏的にはジムセッション毎に何らかのPR(重量だったりレップ数だったり)を味わって楽しくトレーニングして欲しいわけだ。この制覇する達成感に悦びを覚える事を「Crush your weights」と表現している。
Training Maxが重要になってくるのは一番最初に531を立ち上げるだけなので、その時にしっかりTraning Maxを設定し、後は成長を楽しむだけである。
6. 実践編
プログラム概要で少し触ったレップスキームの具体的な数値は以下の通りである。
5の週 | 3の週 | 1の週 | デロード |
---|---|---|---|
65% x 5 | 70% x 3 | 75% x 5 | 40% x 5 |
75% x 5 | 80% x 3 | 85% x 3 | 50% x 5 |
85% x 5+ | 90% x 3+ | 95% x 1+ | 60% x 5 |
※ウォームアップは省略。
この%通りに前述のBIG 4に当てはめるだけだ。初級トレーニーにオススメしないのは%ベースのプログラムだからで、例えばバーしかプレス出来ないのにそれの75%とか言われてもどないすんねん、と。やはり初級トレーニーにはミクロサイクルでガンガン攻めて行くStarting StrengthsやStronglifts5x5の様な線形ピリオダイゼーションがオススメである。
元祖531にはこれよりも厳しい全体的な%が高めのスキームもあるが、Wendler氏も自分もこちらの方を推奨する。いづれ別箇所で厳しめの531その他の有名な亜種531を紹介するのでそこで扱う事にする。因みに531が世に出始めた頃はこの厳しめの%の方が主流だった。
7. プログレッション
さて、プログレッションとは前進だったり漸進を意味するが、ここでは1サイクル後の重量設定について話す。
サイクル終了後、素直に自分をアセスしてみよう。万事上手く行ったのなら無理の無い最小単位の重量プラスをTraining Maxに追加しよう。スクワットとデッドリフトでは5kg、ベンチプレスとオーバーヘッドプレスでは2.5kgが良い。それ以上追加すると、恐らく出来ない事も無いだろうが、531の哲学に反するのでオススメしない。試合は人生と言う長期戦だ。まぁあせるな。
では逆に上手く行かなかった場合。それぞれの5+、3+、1+のレップ数はどの様なものだっただろうか?3+の時にギリギリ3回しか出来なかったら、メニューはこなせていたかも知れないがこれでは「Crush your weights」には程遠い。メニューを制覇してぶちのめたいわけだから、この場合は次のサイクルも全く同じTraining Maxの重量設定を使用しよう。
最悪の場合、メニューがこなせなかったとしよう。これは一概に重量をリセットしろとは言えない。アセスによっては実は睡眠不足だったりカロリー不足だったり過度にストレスが溜まっていた、なんて事もあるからだ。これらのトレーニング以外の要因がクリアしているのなら、トレーニング内容に問題があると言えるだろうから、その時はリセットをしよう。リセットとは具体的に現行Training Max値から-10%をする事だ。例えばTraining Maxが100kgでリセットをするのなら次のサイクルからはまた-10%の90kgからスタートするわけだ。その間にデッド・スクワット系なら2サイクル、プレス系なら4サイクルあるので同重量に戻る頃には充分強くなっていてウェイトをクラッシュ出来るはずだ。
8. アクセサリー種目
531はBIG 4だけでは無く、補助種目またはアクセサリー種目を組み込んで良い。寧ろここで自分の目的にあった色々なカスタマイズが出来る。
ここでは何がオススメだとかはここでは言わないが、どういった物が良いか検討がつかない人の為にオススメのWebsiteとYoutubeを紹介する。
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Athletebody.jpさん
上記リンク内に色々と為になるものがある。そちらで出している究極のマニュアルがあるが、そもそもそれを読んでいるのならこのサイトには来ていないだろうから…。自分はそのマニュアルのトレーニング編と栄養編の英語版の電子書籍を愛用している。サイト内にたくさん参考になるものがあり、特にダイエット面やフィットネス業界で見かけるデマだとか誇張とかをぶった斬っている。
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リーンゲインズおじさん
ここで説明する6種類の動きと言うのに重きを置くと良いだろう。自分もそうしている。
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Sho Fitness
株式会社EVERLIFTの代表取締役社長 今古賀 翔さんのYoutubeチャンネルが素晴らしいの迷ったらそこに行きましょう。この動画の中間辺りに種目について語っているのでオススメします。
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